慢性疼痛の漢方治療-痛み・冷え・気に対する処方-

  • 光畑 裕正
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター 麻酔科・ペインクリニック

書誌事項

タイトル別名
  • マンセイ トウツウ ノ カンポウ チリョウ : イタミ ・ ヒエ ・ キ ニ タイスル ショホウ

この論文をさがす

抄録

慢性疼痛は複雑な病態を呈し, 治療に難渋することがしばしば見受けられる. 西洋医学的治療で鎮痛が得られない症例で漢方薬が有効なことがある. 抑肝散は抗アロディニア作用があり, 神経障害性疼痛を含む慢性痛に効果がある. 抑肝散は絞扼性神経損傷ラットモデルで抗アロディニア作用を示し, その機序の一つはグルタミン酸トランスポーター活性化によりグルタミン酸濃度を低下させることを筆者らは明らかにした. また慢性痛は冷えを伴うことが多く, 当帰芍薬散, 苓姜朮甘湯, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 真武湯, 八味地黄丸など冷えを改善する方剤が効果を示す. また慢性痛では気の異常 (気鬱, 気逆, 気虚) を伴うことが多く, 半夏厚朴湯や四逆散, 柴胡疏肝湯など気剤が著効することがある. 慢性疼痛治療の一つの選択肢として漢方は有用である.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (6)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ