胸膜炎, 心嚢炎を伴った<I>Pasteurella multocida</I>敗血症の1例

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タイトル別名
  • Pasteurella Multocida Septicemia Associated with Pleuritis and Pericarditis

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抄録

家畜の出血性敗血症や肺炎の起炎菌として知られているPasteurella multocida (P. multocida) による極めてまれな人の胸膜炎, 心嚢炎を伴った敗血症を報告する. 症例: 19歳男性, 犬との濃厚な接触後に感冒様症状, 発熱, 呼吸困難, 動悸をもって発症し, 1楊日後に当科に入院, 心拡大, 心膜摩擦音, 両下肺の湿性ラ音を認め, 胸部X線CTscan, 心エコー図で心嚢液と両側胸水貯溜が確認された. ampicillin (ABPC) 投与3日目の血液培養でP. multocidaが検出された. cefazolin (CEZ), cefmetazole (CMZ) とlincomycin (LCM) の併用が無効なため, 入院10病日目に左開胸, 心嚢液, 胸水ドレナージと心嚢開窓術を行った. 手術材料の病理組織学的所見は炎症所見のみで悪性所見は認められなかった. 術後も改善が認められなかったが, 術後2週間目からのthiamphenicol (TP) の使用により全治させることが出来た. 本例は救命し得たP. multocida敗血症の本邦第1例と思われる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 58 (4), 327-332, 1984

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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