1,4-ジチオケト-3,6-ジフェニルーピロロ-[3,4-c]-ピロールの近赤外吸収と励起子結合効果

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タイトル別名
  • Interpretation of the Near-IR Absorption of 1,4-Dithioketo-3,6-diphenyl-pyrrolo-[3,4-c]-pyrrole in Terms of Exciton Coupling Effects

抄録

表題化合物のチオピロロピロールには3つの結晶相が存在する.第3結晶相は近赤外吸収を示す事からピロロピロールはGaAsA1半導体レーザーを使ったレーザープリンターの感光体ならびに光ディスク媒体として注目されている.第1および第II相の結晶構造は非常に類似し,分子はいわゆる「杉綾模様“herringbone”」構造で積層する.これに対し,第III結晶相は「レンガ塀のレンガ“bricks in a brick wall”」の構造をとる.このような分子配列の差が近赤外吸収に反映されたものと考え,各結晶相の最近接分子に対し励起子結合効果に起因するバンドシフトを計算した.どの結晶相においても水素結合ペアは約1500 cm-1長波長シフトに寄与する事がわかった.これに対し,積層ペアは第III結晶相では大きな長波長シフトを誘起するが,第1および第II結晶相では逆に短波長シフトとなった.以上の結果から,水素結合ペアならびに積層ペアの双方が長波長シフトに寄与する「レンガ塀のレンガ」の構造が近赤外吸収の出現に決定的な役割を果たす事が結論された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679074848128
  • NII論文ID
    130004800498
  • DOI
    10.11370/isjepj.37.58
  • ISSN
    18805108
    0387916X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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