心因性が疑われた片眼性青黄色覚異常の1例

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  • A Case of Unilateral Blue-Yellow Color Vision Defects With a Suspicion for Functional Visual Loss

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抄録

【目的】後天色覚異常は網膜、視神経、大脳疾患の他に心因性視覚障害でしばしばみられる。今回、心因性が強く疑われた片眼性青黄色覚異常の1例を経験したので報告する。<BR>【症例】21歳女性。右眼の色覚異常を訴え2008年11月近医受診。矯正視力は両眼それぞれ1.2であった。前眼部、中間透光体、眼底、蛍光眼底造影検査に異常所見は認めなかった。Goldmann動的量的視野は正常で、頭部MRI にも異常はなかった。同年12月精査目的にて当院受診。Humphrey静的量的視野の平均偏差値は、white-on-whiteでは右-2.07dB、左+0.04dB。blue-on-yellowでは右-19.19dB(P<0.5%)、左-2.67dBであった。フラッシュ網膜電図、黄斑部局所網膜電図では、左右差なく正常振幅であった。パターンリバーサル視覚誘発電位でも左右差なく、P100の潜時・振幅は正常であった。石原色覚検査表は左右ともに全表正読、アノマロスコープは左右ともに正常等色値を示した。SPP-II、HRR表は、右青黄異常検出、左全表正読。パネルD-15は、右fail(tritanパターン)、左passであった。 100 Hue Testの総偏差点は、左は8であったが、右は180で青黄異常の特性を示した。約2年後、自覚症状の改善なく、色覚検査の結果もほぼ同様であった。<BR>【結論】症例は法学部の大学生である傍ら、発症半年程前から週4日以上アルバイトをしており、多忙な中人間関係にもストレスを感じていた背景が存在していた。明らかな器質的・形態的異常がないことから心因性色覚異常が強く疑われ、片眼性の青黄色覚異常の原因と考えた。

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