弱視と屈折異常の関わり-不同視を中心に-

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship Between Amblyopia and Refractive Errors Focusing on Anisometropia

この論文をさがす

抄録

【緒言】片眼性の弱視は、斜視弱視、不同視弱視、形態覚遮断弱視に分類され、弱視の原因は屈折異常、不同視、斜視であると報告されている。また、AAOにより弱視発症のリスクを最小にするための眼鏡処方の基準が報告されているように、弱視を屈折異常ととらえることが、臨床上重要である。しかし弱視の成り立ちには、正視化の過程、不同視、斜視が複雑に関連していると推察される。臨床的にも斜視と不同視の両者を併せ持つ弱視は少なくなく、不同視弱視と斜視弱視を分類することが困難な場合が多い。そこで今回は弱視の屈折異常を特に不同視に着目して検討し、また斜視と不同視を合併した症例の特徴についても報告する。<BR>【対象および方法】2008年1月から2012年3月までの期間に岡山大学病院を受診した、139例の弱視を、斜視群(A群:52例)、斜視+不同視群(B群:45例)、不同視群(C群:39例)の3群に分類し、治療開始時の屈折度数、不同視、視力値を比較した。<BR>【結果】1.屈折度数(等価球面値)は、健眼+1.62D(中央値)、弱視眼+3.25Dで、弱視眼で有意に大きく、 乱視度数(中央値)も、健眼0.75D、弱視眼1.00Dで、弱視眼で有意に大きかった。2. 弱視眼の屈折度数が大きいほど不同視が大きかった。3. 健眼の屈折度数は、A群+1.88D、B群+1.62D、C群+1.38Dで3群間に有意差はなかったが、弱視眼では、A群+2.12D、B群+4.75D、C群+3.62Dで、B群はC群よりも有意に大きかった。4.弱視眼視力(logMAR)は、A群0.43、B群0.70、C群0.30で、B群の視力はA群、C群よりも有意に低く、また B群とC群では不同視と視力の間に有意な相関を認めた。<BR>【結論】弱視は、屈折異常、とりわけ遠視、乱視および不同視との関連性が強く、斜視と不同視を合併した混合弱視では、弱視眼の遠視度数が強く、重篤な弱視になりうる。

収録刊行物

参考文献 (10)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ