敗血症性急性肺傷害におけるGRK2の創薬ターゲットとしての可能性

  • 大橋 若奈
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座
  • 服部 裕一
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座

書誌事項

タイトル別名
  • GRK2 as a potential therapeutic target for septic ARDS
  • ハイケツショウ セイキュウセイ ハイ ショウガイ ニ オケル GRK2 ノ ソウヤク ターゲット ト シテ ノ カノウセイ

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抄録

高齢化,移植や悪性腫瘍の化学療法などによる免疫機能の低下,多剤耐性菌の出現などにより,敗血症は現在においてもなお高い死亡率を有している.敗血症の死亡率は,循環不全を伴った重症敗血症,敗血症性ショックと重症化するに伴い上昇することから,早期における適切な治療法を確立することの重要性がうかがえる.これまで,種々の治療法が試されてきているものの,残念ながらどれも根治的な治療成果は得られてはおらず,有効な治療法の確立を目指した基礎的研究が続けられている.GPCR(G protein-coupled receptor)の脱感作と内部移行を担うGRK(G protein-coupled receptor kinase)2は,近年の研究の進展により,GPCRシグナル伝達の調節のみならず非受容体型分子と相互作用することでGPCR以外の細胞内シグナル伝達を調節する因子として振舞っている様子が明らかとなり,多彩な病態生理学的な役割を持つ可能性が浮かび上がってきた.本稿では敗血症性におけるGRK2の治療標的としての可能性について述べる.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 145 (3), 122-128, 2015

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (37)*注記

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