成人のアトピー性皮膚炎 臨床像,検査値と背景因子

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  • Atoptic Dermatitis in Adults. The Clinical Features, Laboratory Findings and Patient Backgrounds.
  • —The Clinical Features, Laboratory Findings and Patient Backgrounds—
  • —臨床像, 検査値と背景因子—

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抄録

われわれが1991年に診察したアトピー性皮膚炎患者203名(男性86名, 女性117名で, 平均年齢15.53±9.42歳)を対象に年齢と臨床型の関連, 臨床型と背景因子および検査値との関連について検討した。4歳までは紅斑丘疹型が多く, 苔癬化局面型は2歳から出現, 5歳以降で最多であった。痒疹型は小児期から, 顔面型は14歳, 紅皮症型は16歳以上に分布し, 20歳以上では顔面型·痒疹型の比率が増加し, 苔癬化局面型の比率が減少した。成人期の特徴として結節性痒疹様の大型結節のみられる痒疹型と, 躯幹四肢に比べ顔面に皮疹の著明な顔面型が挙げられた。痒疹型29名中9名, 顔面型23名中6名は当科通院中に苔癬化局面型から移行した。16歳以上の苔癬化局面型軽症群, 同中等症重症群, 痒疹型, 顔面型, 紅皮症型の5群の平均年齢は22∼23歳であり, 気道アトピー合併率に有意差はなかった。発症年齢は, 苔癬化局面型に比べ痒疹型·顔面型·紅皮症型で0歳発症が有意に高かった。総IgE値は苔癬化局面型に比し他の3群が有意に高かった。250PRU/mlを境界値とすると苔癬化局面型軽症群と3群間に有意差を認め, 軽症群に比して中等症重症群が高い傾向にあった。中等症重症群と他の3群間に有意差はなかった。1000PRU/mlを境界値とした場合, 苔癬化型と顔面型, 紅皮症型の2群間に有意差を認め, 痒疹型も高い傾向にあった。Df-IgE抗体, Df-IgG4抗体, Df掻破試験の陽性率は各群間で一定の傾向はなかった。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 56 (1), 80-85, 1994

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (5)*注記

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