左耳介後部に生じた乳頭状汗管囊胞腺癌の1例

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タイトル別名
  • A case of left postauricular syringocystadenocarcinoma papilliferum

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抄録

57歳,女性。幼少期から左耳介後部に「ホクロ」があり,徐々に増大した。初診時現症では左耳介後部に一部表面湿潤な弾性硬紅色腫瘤を認めた。生検時病理組織所見では高円柱状細胞と立方細胞の2層性で,断頭分泌を認める腫瘍細胞が乳頭状に増殖しており,間質には稠密に形質細胞が浸潤していた。乳頭状汗管囊胞腺腫と診断したが,手術検体の永久標本では好酸性細胞質を持った異型細胞が壊死を伴って充実胞巣状や乳頭腺管状に増殖していた。最終的にアポクリン腺癌,さらに乳頭状汗管囊胞腺腫との構造的類似性を持つことから乳頭状汗管囊胞腺癌と診断した。生理的にアポクリン腺が存在しない部位に発生するアポクリン腺癌は稀であり,耳介後部に生じた本邦報告例は自験例を含め3例のみである。アポクリン腺癌は再発・転移の頻度が高く,その場合は予後不良であるため,今後も注意深い経過観察が必要と考える。

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