抄録
小児での腎カルシウム結石症の発症率は増加を示しており,再発傾向もみられる。小児での結石症の発症頻度は成人に比べて低いが,その成因については十分にはわかっていない。それゆえ,成人に対する治療法も小児には適さない。小児の結石形成における代謝異常をより理解するために,6~17歳の有結石者129名,対する有結石者の同胞がいる結石を有していない105名,および家族歴で結石を認めない健常小児183名での24時間尿生化学検査と結晶化の特性について比較検討した。カルシウム結石形成の主たる危険因子は高カルシウム尿症であった。有結石者群ではシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムの過飽和を伴った尿中カルシウム排泄量が多く,また,リン酸カルシウムでの過飽和と準安定域上限の幅が減少しており,リン酸カルシウムの結晶化の危険性を高めていた。小児では,成人の有結石者に認められる高シュウ酸尿症,低クエン酸尿症,尿pHの異常,尿量低下のような尿生化学異常所見は認められなかった。このように,高カルシウム尿症とリン酸カルシウムの過飽和と準安定域上限の幅の減少が,結石の決定的な危険因子であった。これらのことから,カルシウム結石を有する小児において,高カルシウム尿症の管理が重要であることが強調される。
収録刊行物
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- 日本小児腎臓病学会雑誌
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日本小児腎臓病学会雑誌 25 (2), 158-159, 2012
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679316970880
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- NII論文ID
- 130004836703
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- ISSN
- 18813933
- 09152245
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可