タンザニア南東部「母系制社会」の母系と父系に関する一考察

• 阪本 公美子

  宇都宮大学国際学部

書誌事項

タイトル別名

• Revisiting Matriliny and Patriliny in the “Matrilineal” Southeast Tanzania:
• タンザニア南東部｢母系制社会｣の母系と父系に関する一考察 : ムウェラの親族系譜を中心として
• タンザニア ナントウブ 「 ボケイセイ シャカイ 」 ノ ボケイ ト フケイ ニ カンスル イチ コウサツ : ムウェラ ノ シンゾク ケイフ オ チュウシン ト シテ
• Focusing on the lineages of the Mwera
• ムウェラの親族系譜を中心として

抄録

タンザニア南東部の諸民族は「母系制社会」を持つと認識されその特質や変容も研究されてきたが，母系と父系の系譜の関係については不明な点が多い。本論文では，ムウェラ民族の間で，父系氏族（kilawa）と母系氏族（ukoo）が二重単系出自として存在する上に，父系継承するようになった姓が重層的に存在することを明らかにした。同地域の他民族の間でkilawaは，その有無や継承が一貫していない。<br>同地域の民族における交叉イトコ婚は，（1）ukooの母系継承を維持したムウェラにおいては異なる形で現れ，（2）父系化した氏族においては同ukoo内に変容し，（3）ウジャマー集村化以降いずれのukooを意識した婚姻も消失した。現在，夫方居住，父系財産相続，男性所有や夫婦共有が主流である一方，内陸ムウェラの間では，妻方居住や，女性による農地の単独所有（特に夫が不在の場合）も少なくない。<br>本論では，ムウェラのkilawa・ukoo・姓に見られる父系と母系の系譜の歴史的蓄積・変容を明らかにし，類似民族として議論されてきた複数の「母系的民族」を参照し，継承や相続の諸事例において母系的傾向と父系的傾向がどのように現れているのかを考察した。

収録刊行物

• アフリカ研究

  アフリカ研究 2011 (78), 1-23, 2011

  日本アフリカ学会

詳細情報

• CRID: 1390282679323726080
• NII論文ID: 130004838221
• NII書誌ID: AN0001203X
• DOI: 10.11619/africa.2011.78_1
• ISSN: 18845533
• ISSN: 00654140
• NDL書誌ID: 023441060
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I023441060
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/africa/2011/78/2011_1/_pdf
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可