軽微な受傷機転によるRetroclival epidural hematomaの幼児例

  • 野村 理
    国立成育医療研究センター総合診療部
  • 荒木 尚
    国立成育医療研究センター脳神経外科
  • 堤 義之
    国立成育医療研究センター放射線診療部
  • 石黒 精
    国立成育医療研究センター総合診療部
  • 阪井 裕一
    国立成育医療研究センター総合診療部

書誌事項

タイトル別名
  • A case of pediatric retroclival epidural hematoma with minor injury

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抄録

軽微な受傷機転によるRetroclival epidural hematoma(REDH)の幼児例を経験したので報告する。症例は3歳の男児。ブランコから転落して受傷し,前医より当院へ救急搬入。軽度の意識障害(GCS14)と頸部痛あり,頭部CTにて斜台背側に硬膜外血腫を認めた。進行性の意識障害や脳幹圧迫所見は認めず,保存的に加療した。意識障害は自然軽快し,頭部CTにて血腫は消退し入院8日目に退院とした。REDHは小児に多く報告され,交通外傷などの高エネルギー外傷が受傷機転とされている。しかし,本症例は軽微な受傷機転であり,さらには報告例の中でも年少となる3歳であることより,REDHは軽微であってもとくに頸部過伸展・過屈曲を伴った受傷機転であれば生じうること,また同疾患が乳幼児にも潜在している可能性が示唆された。REDHは臨床的には両側外転神経麻痺や環軸椎亜脱臼を合併することも特徴である。画像診断には再構成CTやMRIによる矢状断画像が有用である。治療においては,両側外転神経麻痺や頭蓋内圧亢進症状が進行し血腫除去術を施行した報告はあるが,神経学的所見を評価しながら保存的加療を行うのが標準的である。頸部の過剰な屈曲や伸展を伴う外傷で両側外転神経麻痺や斜頸を呈する小児に遭遇した際にはREDHを鑑別に挙げることが有用である。

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参考文献 (9)*注記

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