日本人におけるCT画像を用いた第2肋間鎖骨中線,第5肋間前腋窩線での胸腔穿刺の有用性と安全性の検討

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  • Study of efficacy and safety of needle thoracostomy at the second intercostal space in the midclavicular line and ?fth intercostal space in the anterior axillary line by using computed tomography scans in Japanese patients

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抄録

背景:胸腔穿刺は緊張性気胸に対する迅速で有効な治療とされているが,第2肋間鎖骨中線の胸腔穿刺は,高確率で不成功に終わると報告があり,近年,第5肋間前腋窩線の胸腔穿刺の有用性が検討がされている。日本人における第2肋間鎖骨中線および第5肋間前腋窩線の胸腔穿刺の有効性,安全性について検討する。方法:当院に救急搬送され,胸部CTを撮像した18歳以上の外傷患者を対象とし,Picture Archive and Communication System(PACS)を用いて第2肋間鎖骨中線,第5肋間前腋窩線の筋組織の厚さ,脂肪組織の厚さ,胸壁の厚さ(筋組織の厚さ+脂肪組織の厚さCWT: chest wall thickness),肝臓,心臓までの距離を計測した。CWTが50mm未満を胸腔穿刺予測成功症例群とした。結果:患者は153例中,男性81例(52.9%),年齢は平均61.6歳,男女間で身長,体重に有意差を認めたが(p<0.0001),BMI(body mass index)は有意差を認めなかった(p>0.05)。右第2肋間鎖骨中線12.4%,左第2肋間鎖骨中線8.0%,右第5肋間前腋窩線11.8%,左第5肋間前腋窩線9.8%と,各4部位とも約1割がCWT: 50mm以上であった。右第5肋間前腋窩線から肝臓の距離が50mm未満であったのは26例(17.0%)だった。左第5肋間前腋窩線から心臓の距離が50mm未満であったのは39例(25.5%)だった。BMIが25以上から胸腔穿刺不成功率は上昇し,BMIが30以上では不成功率は50-88%と高値であった。またBMIが30未満では肝損傷,心損傷の合併症率が一律に高かった。結語:日本人での第2肋間鎖骨中線と第5肋間前腋窩線からの胸腔穿刺の成功率は約9割と高く,第5肋間前腋窩線からの胸腔穿刺は肝損傷,心損傷の危険性を伴う可能性があると考えられた。日本人での胸腔穿刺失敗は肥満が主な原因であると考えられた。

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