尋常性天疱瘡に歯周病を併発した患者に歯周基本治療を行い良好な結果を得られた一症例

  • 十川 裕子
    東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部
  • 竹内 康雄
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
  • 片桐 さやか
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
  • 木村 文香
    東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部
  • 難波 佳子
    東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部
  • 小田 茂
    東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部
  • 足達 淑子
    東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部
  • 和泉 雄一
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Improvement of periodontitis with pemphigus vulgaris using nonsurgical periodontal therapy:A case report

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抄録

尋常性天疱瘡は皮膚や粘膜に上皮内水疱を形成する自己免疫疾患であり,歯肉を含む口腔粘膜にもその病変がしばしば認められる。本報では尋常性天疱瘡により著しい浮腫性の腫脹や剥離性のびらんが認められた患者に対し,徹底した口腔清掃指導を軸とした歯周基本治療により,非外科治療のみでも良好な臨床症状の改善を図ることができた一症例を示す。患者は 56 歳女性で,全顎的な歯肉の腫脹,ブラッシング時の出血,歯の動揺を主訴に来院した。30 代で尋常性天疱瘡を発症し皮膚科への通院はしていたものの,継続的な歯科の通院歴はなかった。初診時は歯肉および口腔粘膜に浮腫性の腫脹と剥離性のびらんがあり,4 mm 以上の歯周ポケットが79,7%の部位で認められた。また,疼痛を伴うためブラッシングができないとのことで,プラークや歯石の沈着も多かった。エックス線写真上では中等度の骨吸収が確認された。治療では最初に口腔内の症状に合わせてきめ細かい清掃指導を行ったことで,セルフプラークコントロールが良好となり症状も軽快した。引き続きスケーリング・ルートプレーニングや口腔機能回復治療を行い症状の改善に努めた結果,現在,浮腫性の腫脹と剥離性のびらんは認められず,良好な経過を維持している。プラークは尋常性天疱瘡の口腔内の症状を憎悪させる大きな要因であり,変化する口腔内の状態に合わせた丁寧な指導が天疱瘡に罹患した歯周炎患者に対して歯周治療を進める上で重要であると考えられた。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(4):451-456,2014

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (4)*注記

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