クライオSEMによるダメージ毛内部の水分布状態の観察

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タイトル別名
  • The Observation of Water Distribution in Damaged Human Hair by Cryo-SEM
  • クライオ SEM ニ ヨル ダメージモウ ナイブ ノ ミズブンプ ジョウタイ ノ カンサツ

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抄録

近年,毛髪のダメージに対する意識は高まっているが,微細構造レベルでのダメージのメカニズムについては十分に把握されていない。ダメージ毛内部の水の分布状態を可視化できれば,毛髪微細構造のどの部分がダメージを受けやすいのかがわかると考えた。具体的には,含水させたダメージ毛を液体窒素で凍結固定したのち,クライオミクロトームで作製した平滑な毛髪横断面をクライオユニットを装備した走査型電子顕微鏡 (クライオSEM) で観察した。クライオSEMでは氷は昇華するため,もともと水が多い部分は窪みとして観察される傾向にあった。その結果,未処理毛では窪みはほとんど観察されないが,ダメージ毛ではコルテックスのCMC (細胞膜複合体),マクロフィブリル間充物質,細胞核残渣,メラニン顆粒とみられる部位で窪みが観察された。つまり,こういった構造でよりダメージを受けやすく,含水時には水が局在化しやすい部位であることが示唆された。また,クライオSEM像における窪みの度合いは,水による毛髪の膨潤度および引張りによる破断強度との間にそれぞれ相関性が認められ,毛髪のダメージ度合いを表しているものと考えられた。

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