単純CT において静脈洞内の異なる吸収域が混在する所見が脳静脈洞血栓症を疑わせた1例

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タイトル別名
  • A case of cerebral venous sinus thrombosis with heterogeneous hyperdensity in cerebral sinuses suggestive of thrombus formation

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抄録

要旨:症例は64 歳の男性.約6 日の経過で進行する頭痛と複視で来院した.左外転神経麻痺を認めたが,項部硬直は認めなかった.CT にて上矢状静脈洞,右横静脈洞に血栓を疑う高吸収域を含む所見を認めたためCT angiography,MR venography を施行し,上矢状静脈洞,右横静脈洞内の血栓陰影,血流の途絶を確認し脳静脈洞血栓症と診断した.急性期にはヘパリン,ワーファリンによる抗凝固療法を行い,症状,画像ともに改善した.脳静脈洞血栓症は治療のタイミングを逃せば,致死的になりうるため早期の精査,診断が必要である.本症例では単純CT における静脈洞内の異なる吸収域が混在する所見が診断に有効であった.一般的に上矢状静脈洞血栓症にみられることのあるデルタサインは感度特異度ともに低いとされているが,静脈洞内に不均一な吸収域が混在する所見は,早期診断に有用と思われる.

収録刊行物

  • 脳卒中

    脳卒中 37 (1), 17-20, 2015

    一般社団法人 日本脳卒中学会

参考文献 (10)*注記

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