皮膚バリア異常を示す自然発症皮膚炎マウスモデル

  • 佐々木 貴史
    慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 慶應義塾大学医学部コーセースキンケア・アレルギー予防医学寄附講座
  • 塩濱 愛子
    慶應義塾大学医学部MSDアレルギー研究学寄附講座
  • 天谷 雅行
    慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 慶應義塾大学医学部コーセースキンケア・アレルギー予防医学寄附講座 慶應義塾大学医学部MSDアレルギー研究学寄附講座

書誌事項

タイトル別名
  • Mouse models for spontaneous dermatitis due to impaired skin barrier formation

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抄録

Flaky tailマウスは,体毛異常(matted: ma)及び角層異常(flaky tail: ft)の2種の常染色体劣性変異(ft, ma)を有し,SPF環境下でも血中IgE高値を伴う皮膚炎を自然発症するマウスである.著者らは,flaky tailマウスが角質層主要構成タンパク質の1つFilaggrin(Flg)の機能喪失変異を有しており,角質層バリア異常を示すことを明らかにした.しかし続いて作出したFlg欠損マウスは皮膚炎を自然発症しなかった.そこでftma変異を分離した結果,flaky tailマウスの自然発症皮膚炎の原因はma変異であり,ma変異は新規皮膚バリア遺伝子Tmem79ナンセンス変異(Tmem79ma)であることを明らかにした.このTmem79は表皮顆粒層最上層細胞に発現し,ma変異マウスでは角質層成熟タンパクの分泌及び角質層形成に異常が見られた.以上の結果から,著者らはTmem79ma/maマウスは皮膚バリア遺伝子欠損が原因となる皮膚炎を自然発症するモデルであるを示した.このマウスの解析により,皮膚バリア異常による自然発症皮膚炎の発症機構の一端が解明されると期待される

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