ラブドイド細胞を伴った甲状腺未分化癌の 1 例

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  • A case of undifferentiated carcinoma of the thyroid with rhabdoid cells

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抄録

背景 : 甲状腺未分化癌は非常に悪性度の高い腫瘍で, いくつかの特殊型が報告されているが, いずれも非常にまれである. 今回われわれは, ラブドイド細胞を伴った甲状腺未分化癌を経験したので報告する.<br>症例 : 64 歳, 男性. 嗄声が出現し, 近医で右声帯麻痺と診断され, 当院に紹介された. 超音波検査で甲状腺右葉の大部分を占める腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では, 壊死性・炎症性背景に核異型が著明で多核や巨核細胞が混在している未分化癌成分がみられた. また, 細胞質内に硝子様の類円形封入体を有し, 核が偏在し核小体が目立ち, 豊富な好酸性の細胞質を有するラブドイド細胞も出現していた. 甲状腺全摘術および右頸部郭清術が施行された. 組織学的には乳頭癌と未分化癌が混在しており, 後者にはラブドイド細胞が含まれていた. 切除リンパ節にも広範に乳頭癌と未分化癌の転移を認めた.<br>結論 : ラブドイド細胞を伴う甲状腺癌の報告例は少ないが, 予後は極めて不良である. 未分化癌においてラブドイド細胞の出現の有無による予後の比較検討はなされていないが, 甲状腺未分化癌はそれ自体が極めて予後不良で, 本例でも嗄声出現から約 2 ヵ月半と非常に短い経過で死亡した.

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