家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病患者に発症した大動脈弁狭窄症の1手術例

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  • A Surgical Case of Severe Aortic Valve Calcification Complicated by X-linked Hypophosphatemic Osteomalacia

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抄録

症例は34歳,女性.生下時に家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(X-linked hypophosphatemic osteomalacia : XLH)と診断されていた.全身倦怠感,動悸,労作時呼吸困難,下腿浮腫を主訴に受診し,心エコー検査で大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と診断された.大動脈弁は高度の石灰化を呈しており,また胸部CTで上行大動脈に全周性の高度石灰化を認めていた.手術は胸骨正中切開でアプローチし,右鎖骨下動脈・右大腿動脈送血,上下大静脈脱血で体外循環を開始した.右上肺静脈から左室ベントを挿入し膀胱温で28℃まで中心冷却した後,大腿動脈送血を停止し上行大動脈を切開した.内腔を観察しながら性状の良好な部位で大動脈を遮断した.大動脈弁石灰化は弁輪および弁輪直上のバルサルバ洞壁,無冠尖側弁輪直下の左室流出路の一部にまで広がっていた.石灰化除去に伴い無冠尖弁輪の一部が欠損となったため修復を要した.CEP MAGNA 19 mm生体弁を選択し大動脈弁置換を行った.術後は神経学的合併症を含めた重篤な合併症を認めずに経過し,第13病日に独歩退院した.切除大動脈弁標本の病理所見では高度の石灰化に加えて骨化の所見を伴っており,XLHに特徴的な所見と考えられた.大動脈弁石灰化病変を合併したXLHの稀な1例を経験したので文献的考察を加えて報告した.

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