S状結腸,膀胱損傷をきたした腹部銃創の1例

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  • A Case of an Abdominal Gunshot Wound to the Sigmoid Colon, and Bladder

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抄録

61歳男性。自宅玄関で正面から銃撃され当院へ救急搬送された。左側腹部に射入創および熱傷を認めた。CTで直腸近傍に銃弾があり,膀胱内および膀胱周囲に液体貯留を認め膀胱損傷,腹腔内出血と診断。緊急手術を施行した。膀胱は緊満腫大しており損傷・出血を認め,S状結腸にも損傷を認めた。膀胱の損傷部および,S状結腸の損傷部位を縫合した。肛門右側を切開,弾丸を摘出した。弾丸は左側腹部より射入し,S状結腸をかすめて膀胱壁を貫通し直腸右側に到達したものと考えられた。腹腔内にドレーンを留置し,肛門切開創にはペンローズドレーンを留置した。創部感染を認めたが,術後18日目に退院となった。本邦では銃弾による腹部外傷の発症はまれである。今回S状結腸,膀胱損傷をきたした腹部銃創の1例を経験した。循環動態の不安定な腹部銃創患者には一刻も早い緊急開腹手術が必要であるが,ショック症状がなければCTは有用な検査となりうる。

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