胃壁内に完全迷入した魚骨の除去に術中超音波検査が有用であった1例

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  • Utility of Intraoperative Ultrasonography for Gastric Perforation by a Fishbone

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抄録

症例は80歳,女性。1ヵ月前に鱈を摂取後に嘔吐,その後,心窩部不快感が持続していた。近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で異常なく,経過観察とされていたが,症状が持続するため腹部CTを施行,肝膿瘍の診断で当院に紹介された。CT,超音波検査(以下,US)では幽門前庭部の胃壁から壁外に向かって長さ3㎝の線状陰影を認め,その先端は肝下面の膿瘍に達していた。魚骨による胃穿孔ならびに腹腔内膿瘍の診断で緊急手術を施行した。開腹所見では,胃前庭部小弯から肝下面に膿瘍を認め,排膿後,膿瘍腔内に魚骨を検索したが確認されなかった。そこで胃の前面からUSを行ったところ魚骨は前庭部後壁粘膜下層に迷入していた。胃前壁を切開し後壁内の魚骨を摘出した。本症例では魚骨が胃壁内に迷入していたため,その検索にUSが有用であった。異物の探索には無駄な組織剥離の回避,適切なアプローチ法選択のため,積極的にUSを活用すべきと考えられた。

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