副鼻腔真菌症症例の検討

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  • Clinical Considerations of Fungal Paranasal Sinusitis

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抄録

近年,糖尿病患者の増加,経口ステロイド薬使用の増加などにより副鼻腔真菌症は増加傾向にある。2006年1月から2011年10月までに倉敷中央病院・耳鼻咽喉科で内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行し,病理組織学的もしくは培養検査で副鼻腔真菌症と診断した36例について検討した。平均年齢は63歳(27歳~93歳)であり,男性15例,女性21例であった。罹患副鼻腔は上顎洞27例,蝶形骨洞5例,篩骨洞1例,その他3例は複数洞に病変を認めた。<br>全例で内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行し,罹患副鼻腔の開放と真菌塊の除去を行った。診断は全例で病理組織学的診断と培養検査で行い,病理組織では34例,培養検査では3例で同定できた。菌種は35例がアスペルギルス,菌種が同定されなかったものが1例であった。病型は慢性非浸潤型35例,急性浸潤型1例であった。術後平均経過観察期間は7.6ヶ月(1~24ヶ月)であった。急性浸潤型の1例は不幸な転帰となった。副鼻腔真菌症非浸潤型例では内視鏡下鼻内副鼻腔手術での罹患副鼻腔の確実な開放と真菌塊の除去をすることで,良好な経過が得られている。副鼻腔真菌症は,病原菌種や患者の状態などにより様々な臨床経過を呈する疾患であり,より早期に診断し,適切な治療を行う必要がある。<br>

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