脳神経外科手術におけるインドシアニングリーン術中蛍光血管撮影の有用性と課題

  • 小松 洋治
    筑波大学附属病院 日立社会連携教育研究センター 脳神経外科
  • 中村 和弘
    筑波メディカルセンター病院 脳神経外科
  • 伊藤 嘉朗
    筑波メディカルセンター病院 脳神経外科
  • 益子 良太
    筑波メディカルセンター病院 脳神経外科
  • 上村 和也
    筑波メディカルセンター病院 脳神経外科
  • 松村 明
    筑波大学 医学医療系 脳神経外科

書誌事項

タイトル別名
  • Benefit and Pitfall of Intraoperative Indocyanine Green Video-angiography in Neurological Surgery

抄録

インドシアニングリーン(indocyanine green: ICG)の近赤外蛍光を用いたICG ビデオ血管撮影(ICG video angiography: ICG-VA)は,手術用顕微鏡に搭載され脳神経外科手術においてリアルタイムに術野の血管を評価できる.従前から術中血管評価にもちいられてきた術中digital subtraction angiography( DSA)と比較して簡便かつ多方向から細かな血管まで観察可能であることが評価されている.本総説では,自験例を紹介して,その有用性,課題,展望について論じる.脳動脈瘤手術においてICG-VA を用いることにより,動脈瘤の不完全遮断や温存すべき正常血管の狭窄や閉塞を,術中DSA より細部にわたって評価可能となった.この所見に基づいて手技を術中に修正でき,手術の安全性向上に寄与した.動静脈奇形ではnidus 摘出が完全に行われたことの評価,流入血管と通過血管の鑑別に有用であった.バイパス手術では,バイパス開存および灌流領域を術中に評価できるようになった.頚動脈内膜剥離手術では,血管切開前にプラーク存在部位を,術後には遠位端の狭窄残存の有無の評価が可能であるが,血管壁の厚さによる蛍光不均一に注意が必要である.有用性を高めるためには,出血がなく,血管の重なりのない方向からの観察が可能な術野を展開することが重要であるとともに,視認できない部分は評価できないことを理解したうえで活用する必要がある.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (25)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204767646336
  • NII論文ID
    130004893575
  • DOI
    10.2530/jslsm.34.141
  • ISSN
    18811639
    02886200
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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