先天性門脈体循環シャントに対するシャント血管結紮術5例の経験

  • 高間 勇一
    大阪市立総合医療センター小児外科 大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科
  • 上野 豪久
    大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科
  • 井深 奏司
    大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科
  • 上原 秀一郎
    大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科
  • 曺 英樹
    大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
  • 臼井 規朗
    大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
  • 福澤 正洋
    大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
  • 奥山 宏臣
    大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科

書誌事項

タイトル別名
  • Surgery for Ligation of Shunt Vessel for Congenital Portosystemic Shunt
  • センテンセイ モンミャクタイ ジュンカン シャント ニ タイスル シャント ケッカン ケッサツジュツ 5レイ ノ ケイケン

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抄録

【目的】先天性門脈体循環シャントは,門脈血が直接体循環へ流入することで高アンモニア血症,肝肺症候群,肝性脳症などを来す疾患である.無症候性の場合もあるが有症状例にはシャント血流遮断が必要となる.当院で施行した先天性門脈体循環シャントに対する外科治療をまとめ,安全性と有用性について検討する.<br> 【方法】2000 年1 月から2012 年12 月に外科治療を施行した5 例を対象とした.術前状態,術中門脈圧や術後経過を,診療録をもとに後方視的に検討した.一期的結紮術の適応は,シャント血管結紮後の至適門脈圧に関する明確な基準がないため,我々は結紮後の門脈圧が25 mmHg まで,結紮前後の圧較差が5 mmHg まで,消化管に肉眼的に鬱血所見を認めないこと,の3 点を適応範囲とした.<br> 【結果】手術時年齢は1 歳7 か月から8 歳.男児4 例,女児1 例.診断契機は高ガラクトース血症が3 例,門脈欠損の疑いが1 例,チアノーゼと肝機能異常が1 例.術前高アンモニア血症(71~134 mg/dl.平均94 mg/dl)は全例に認めた.肝腫瘍,脳症,脳内病変は認めなかった.肺高血圧症は1 例に認めた.シャントは全例肝外シャントであった.術中シャント血管試験結紮時門脈圧は13~30 mmHg(平均20.8 mmHg)であった.術式は,4 例が一期的に結紮を施行し,門脈圧30 mmHg の1 例は開腹バンディングを行った後に二期的に結紮術を施行した.全例術後合併症なく経過した.<br> 【結論】全例とも術後はシャントによる症状は消失し,また術中術後合併症は認めていない.自験例では今回基準とした適応範囲で先天性門脈体循環シャントに対するシャント血管結紮術は安全有用に施行し得た.

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