門脈ガス血症合併壊死型虚血性腸炎を繰り返した1例

書誌事項

タイトル別名
  • Repeated Necrotic Ischemic Enteritis with Portal Venous Gas

この論文をさがす

抄録

症例は68歳の男性で,高血圧症,狭心症,慢性心不全,高脂血症,閉塞性動脈硬化症に対する左腋窩-両側大腿動脈バイパス術,左腎動脈狭窄に対する左腎摘出術,慢性腎不全の既往を有し,抗血小板剤を含む内服治療が行われていた.右下腹部痛を主訴に当院を受診し,CTで門脈ガスと横行結腸の造影不良を認め,下部消化管内視鏡検査で右側結腸の3か所に壊死を認めた.拡大結腸右半切除術を施行し,7日間のICU管理を経て24病日に退院した.その12か月後に左上腹部痛を主訴に来院し,CTで門脈ガスと前回の回腸結腸吻合部周囲に腸管壁の限局性肥厚を認め,下部消化管内視鏡検査で吻合部に壊死を認めたため,壊死腸管を含めた回腸横行結腸吻合部切除を施行した.17日間のICU管理を経て39病日に退院した.門脈ガス血症を合併する重篤な壊死型虚血性腸炎を2回とも救命しえたが,壊死型虚血性腸炎は再発することがあり,全身状態の安定,適切かつ緩徐な循環動態のコントロール,脱水の誘因を取り除くこと,腸管内圧上昇因子を取り除くことなどの再発防止対策をとることが必要である.

収録刊行物

参考文献 (15)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ