播種性トリコスポロン症による急性尿細管障害を認めた原発性骨髄線維症

書誌事項

タイトル別名
  • Acute renal tubular damage caused by disseminated <i>Trichosporon</i> infection in primary myelofibrosis
  • 症例報告 播種性トリコスポロン症による急性尿細管障害を認めた原発性骨髄線維症
  • ショウレイ ホウコク ハシュセイ トリコスポロンショウ ニ ヨル キュウセイ ニョウ サイカン ショウガイ オ ミトメタ ゲンパツセイ コツズイ センイショウ

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抄録

症例は70歳,男性。原発性骨髄線維症の経過中に血球貪食症候群を認めたためステロイドパルス,シクロスポリン,エトポシドの投与を行った。真菌感染予防にmicafungin (MCFG)の投与を行った。血球貪食症候群の治療による好中球減少期に発熱を認め,血液培養からカンジダ属の検出が報告されたことからカンジダ菌血症と診断し,liposomal amphotericin B (L-AMB)を開始したが改善せず,急激な腎機能障害と乏尿を認めた。抗生物質の投与による薬剤性の腎機能障害を疑い,抗生物質の変更を行ったが腎機能障害は改善を認めず永眠された。死後針組織病理診にて尿細管を中心に酵母様真菌の浸潤像が認められ,急性尿細管障害の所見であった。血液培養の最終報告では酵母様真菌はカンジダでなくTrichosporon asahiiが同定された。MCFGの投与下で免疫不全状態の患者に生じた急激な腎機能障害はまれではあるが,播種性トリコスポロンの可能性も念頭においた抗真菌剤の使用が必要と考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (1), 21-24, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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