多発性硬化症における灰白質病変―認知機能障害の観点から―

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タイトル別名
  • Gray matter lesions and cognitive impairment in multiple sclerosis

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抄録

多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)は時間的・空間的多発性を特徴とする中枢神経系自己免疫性疾患である.これまで中枢神経の乏突起膠細胞と髄鞘の障害がMSの主たる原因と考えられてきたため,髄鞘が豊富な白質こそが病変主座と信じられてきた.しかし近年,灰白質(皮質,深部)病変と認知機能障害との関連を問う報告が相次ぎ,灰白質病変の重要性が再認識されている.MSの灰白質病変は,白質の炎症性脱髄病巣による二次的なワーラー変性や経シナプス変性の他に,一次的な脱髄と神経変性が主な要因になっていると考えられている.今後,認知機能と灰白質病変にターゲットを定めた中枢神経系自己免疫性脱髄疾患の治療研究の発展が期待される.

収録刊行物

  • 臨床神経学

    臨床神経学 54 (12), 1060-1062, 2014

    日本神経学会

参考文献 (10)*注記

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