前頭葉損傷の CT, MRI による脳画像診断

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  • Frontal lobe syndrome and brain imaging using CT and MRI

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抄録

   前頭葉損傷における CT や MRI による形態学的診断は, 常に進歩しているものの必ずしも病態のすべてを説明できるものではない。前頭葉損傷として脳梗塞を, その代表的な症候として失語症を取り上げ画像診断の意義と限界について検討した。<br>   運動性失語はブローカ領域と左中心前回の障害をきたしたとき定型像を呈してくる。なお, 左の中心前回に限局した病巣では, 純粋語唖をみる。ブローカ領域に限局した病巣では, 超皮質性感覚性失語を呈し, 非流暢な失語とはならない。前大脳動脈の梗塞では超皮質性運動性失語を呈することがあるが, 発話の発動性の低下が特徴である。左の内頸動脈や中大脳動脈などの主幹動脈病変による境界域梗塞で超皮質性運動性失語をみることがある。境界域梗塞が表層型であれ深部型であれ, 機能画像による病巣は形態画像でみる梗塞巣よりも広範である。形態画像と機能画像の解離をきたす病態と考えられ, 形態学的診断には限界がある。

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