メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による感染性心内膜炎の1合併症:大動脈弁置換術後における僧帽弁–大動脈弁間線維結合部仮性瘤の心腔内穿破

DOI
  • 遠藤 竜也
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 仲村 輝也
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター心臓血管外科
  • 山本 尚江
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 高松 理央
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 槙田 香子
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 日浦 未幸
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 平井 克典
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 平原 智恵美
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
  • 尾上 隆司
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部
  • 谷山 清己
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部

書誌事項

タイトル別名
  • A Sequelae of Endocarditis by Methicillin-resistant Staphylococcus Aureus Infection: Rupture of Pseudoaneurysm on the Mitral–aortic Intervalvuar Fibrosa after Aortic Valve Replacement

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抄録

症例は30歳代男性.大動脈二尖弁に伴うメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染性心内膜炎に対し大動脈弁置換術を施行,その後経過良好にて退院となった.初回手術5か月後に労作時呼吸困難が出現し,聴診にて新たな収縮期雑音を聴取したため精査目的で心エコー図検査施行となった.経胸壁心エコー図検査の断層法で大動脈弁基部–左房間に心周期に応じて収縮期に膨張,拡張期に虚脱する拍動性のエコーフリースペースを認めた.またカラードプラ法では左室流出路よりエコーフリースペースを経由し左房へ向かう血流シグナルが観察され,連続波ドプラ法で観察すると収縮期成分の血流であった.経食道心エコー図検査でも同様の所見を認めた.以上の結果より僧帽弁–大動脈弁間線維結合部に生じた仮性瘤の左房内穿破が疑われ手術の方針となった.手術所見は心エコー所見と同様に僧帽弁–大動脈弁間線維結合部に瘤形成および左房への穿孔を認めた.瘤の入口部および左房への穿孔部を閉鎖し,大動脈弁を再置換した.除去された人工弁に疣贅の付着は認められなかった.僧帽弁–大動脈弁間線維結合部への感染波及による瘤形成は感染性心内膜炎術後遠隔期のまれな合併症であるが,時に重篤化し鑑別困難なこともある.本症例では心エコー図検査がその診断に極めて有用であった.

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 39 (5), 458-463, 2014

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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