IgG4関連疾患の腎病変-IgG4関連間質性腎炎を中心に

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抄録

サルコイドーシスは原因不明の全身性(多臓器)肉芽腫性炎症性疾患であるが,IgG4関連疾患も また原因不明の全身性(多臓器)炎症性疾患である.傷害臓器は両疾患で異なる点も多いが, 腎臓に関してはいずれも間質性腎炎(tubulointerstitial nephritis; TIN)が主病変であり,両者の 鑑別は臨床上重要である.  IgG4関連尿細管間質性腎炎(IgG4︲related TIN; IgG4︲TIN)は中高年男性に好発し,ほとんど の症例がIgG4関連の腎外病変(唾液腺炎,リンパ節炎,後腹膜線維症,自己免疫性膵炎など)を 合併する.全身症状は比較的乏しく,IgG4関連疾患の精査中あるいは偶然に腎機能異常,腎画像 異常で気づかれる.検査では血清IgG,IgG4, IgE高値,低補体血症を高頻度に認める.抗核抗体や RFもしばしば陽性になるが,疾患特異抗体は通常陰性であり,CRP は低値例が多い.腎画像 異常が多いのが他のTINと異なる点であり,造影CTで多発性の腎実質造影不良域を認めやすい. 組織学的には他のIgG4関連病変と同様にリンパ球とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤と線維化を認め, 特徴的な花筵様線維化(storiform fi brosis)も認められる.その他,病変部と非病変部の境界が明瞭, 好酸球浸潤,腎被膜を超える炎症所見などもIgG4︲TINを示唆する所見である,一方壊死性血管炎, 肉芽腫病変,好中球浸潤はIgG4︲TINではほとんどみられず,これらの所見の有無は鑑別に有用で ある.治療としてはステロイドが有効で,0.5mg/Kg/日程度のプレドニゾロン内服でほとんどの 症例が治療開始1か月後には腎機能は回復する.しかし腎機能低下が進行した症例では一部の 回復にとどまるため早期発見,早期治療が望ましい.IgG4関連疾患ではステロイド減量に伴い再 燃が多い事が報告されているが,IgG4︲TINもステロイド減量に伴い腎,腎外病変の再燃が約20% にみられる.

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