斜角筋が問題となった 頸部ジストニア患者に対する鍼治療

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抄録

平成7年7月に発症した頸部ジストニア患者(攣縮性斜頸患者,61歳,女性)に,平成13年11月22日より週1回定期的に鍼治療をおこない,その効果を表面筋電図検査結果から検討した。初診時の鍼治療前,安静椅坐位では,右板状筋および左僧帽筋に異常な筋活動亢進が認められ,頸部肢位は右回旋を呈していた。そのため,筋活動抑制を目的に,右板状筋に対しては右後谿穴,左僧帽筋に対しては左外関穴に置鍼を行った。そして,右回旋の拮抗筋である左板状筋にも異常な筋活動が認められたが,伸張性収縮による疼痛緩和と筋活動の正常化を目的に左後谿穴に置鍼した。また,皮膚・筋短縮,疼痛が認められる右側頸部には集毛鍼を行った。疼痛の訴えが強くあり,過剰収縮をきたしている右斜角筋および右肩甲挙筋には,疼痛緩和,筋活動の改善を目的に同筋上へ直接的に置鍼を行った。しかしながら,新たな罹患筋が出現したり,症状の改善もしくは効果の持続がなかなか認められなかったため,再度検討した結果,斜角筋群に着眼し,鍼治療方法を再構成した。まず,頸部の皮膚短縮,筋短縮へのアプローチとして右斜角筋群,および左胸鎖乳突筋部から左僧帽筋部にかけての側頸部へ集毛鍼をおこなった。また,右回旋運動に抵抗できるよう拮抗筋の筋活動を促通させる目的で,左斜角筋群に対して左衝陽穴,右胸鎖乳突筋に対して右合谷穴に置鍼した。また,伸張性収縮による疼痛緩和を目的に左板状筋に対して左後谿穴,そして,不随意運動の軽減のため,百会穴に置鍼した。その結果,表面筋電図評価および理学的評価に改善が認められた。表面筋電図評価および理学的評価を行ったことにより,罹患筋を同定し本症例に対し的確な鍼治療をすることが出来た。<br>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205438602624
  • NII論文ID
    130004985650
  • DOI
    10.11542/icpt.1.176
  • ISSN
    13478745
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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