当科における口唇裂口蓋裂患者の補綴処置について

  • 鈴木 るり
    東京医科歯科大学歯学部障害者歯科学教室
  • 大内 昇
    東京医科歯科大学歯学部障害者歯科学教室
  • 加賀谷 昇
    東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部
  • 向山 仁
    東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部
  • 秀島 雅之
    東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部
  • 柳沢 治之
    東京医科歯科大学歯学部障害者歯科学教室
  • 谷口 尚
    東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部
  • 大山 喬史
    東京医科歯科大学歯学部障害者歯科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Study on Prosthodontic Procedure for Patients with Cleft Lip and / or Palate
  • Part 2: Clinical Survey of Prostheses
  • 第二報補綴処置の実際とその遠隔成績

この論文をさがす

抄録

口唇裂口蓋裂患者の治療において,補綴処置はその最終段階にあたり,患者の社会復帰にはたす役割は大きいが,現在まで多くの補綴症例についての詳細な分析や遠隔成績までも含めた報告はほとんどみられない.<BR>そこで1979年より1989年12月までに当科を受診した,口唇裂口蓋裂の患者444名のうち,スピーチェイドなどの発音補助装置のみを製作した症例を除き,補綴処置を終了した228名にっき,外来カルテ,プロトコール,口腔内写真,リコール結果を資料とし,1.補綴処置開始年齢,2.補綴方法の内訳,3.他科との協力と補綴方法,4.連結クラウンおよびブリッジの連結範囲,5.遠隔成績について調査し,補綴処置の実態を明らかにするとともに,補綴診断および補綴処置の妥当性についても検討を加え,以下の結果を得た.<BR>1.補綴処置開始年齢は16~20歳が最も多かった.<BR>2.補綴方法は,ブリッジが最も多く120例(52.2%)であり,クラウンと合計すると141例(61.3%)となった.裂型別補綴方法では,唇顎裂症例よりも唇顎口蓋裂症例の方が,また片側性症例よりも両側性症例の方が補綴物は,大型化,複雑化する傾向があった.<BR>3.補綴処置開始前に矯正科や外科との協力が十分なされた症例では,補綴物が小型化,単純化し,より理想に近い補綴方法が適用される傾向にあった.<BR>4.ブリッジの連結範囲は遠隔成績からみても,各セグメントで2歯ずつを含めるのが望ましいということが明らかとなった.<BR>5.ピンレッジの症例は遠隔成績不良のものが多く,再考の必要があることが示唆された.以上,口唇裂口蓋裂の補綴処置について今後の臨床に反映する重要な示唆が得られたと考えられた.

収録刊行物

被引用文献 (7)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ