口蓋裂二段階形成法における未手術硬口蓋披裂部閉鎖床について

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  • Palatal Plate for Covering Hard Palate Cleft after Veloplasty in Two-stage Cleft Palate Surgery

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抄録

われわれは,完全唇顎口蓋裂児10人に口蓋裂二段階形成法で生後18から24か月の問に軟口蓋形成術を行なった後,萌出している歯のアンダーカットに維持をもとめた硬口蓋閉鎖床を使用し残存している硬口蓋披裂部を閉鎖してきた.今回はこの硬口蓋閉鎖床の上顎骨発育に対する影響を初回装着時と4歳時の時点で比較し,言語発育に対する影響については4歳時で評価した.<BR>1.硬口蓋閉鎖床初回装着平均年齢は2.1歳であり,すべての症例において困難なく装着が可能であった.<BR>2.咬合状態を硬口蓋閉鎖床初回装着時と4歳時で比較したところ,乳中切粛部および第1乳臼歯部において咬合関係は変化しなかった.このことより本装置は顎発育に悪影響を及ぼさないものと考えられた.<BR>3.4歳時の硬口蓋閉鎖床装着状態での構音障害は口蓋化構音50%,側音化構音40%,声門破裂音30%であり,4歳時点で硬口蓋閉鎖床を撤去することにより3例に鼻腔構音,咽頭摩擦音,声門破裂音が明らかに生じた.<BR>4.これらより,二段階口蓋形成術において,軟口蓋閉鎖後に用いた硬口蓋閉鎖床は,顎発育を抑制せず,言語発育に効果的であると考えられた.

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