Cruveilhier-Baumgarten症候群の一例

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  • A case of Cruveilhier-Baumgarten syndrome

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抄録

症例は56歳, 男性.大酒家 (1日日本酒換算5合).糖尿病で内服加療を受けていたが, 吐血で入院となった.緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃角部に出血性胃潰瘍を認め, 止血術を施行した.その際に食道静脈瘤Li, F1, Cw, RC (-), Lg (-) を認めた.門脈圧亢進症が疑われ腹部CT検査および腹部超音波検査を施行したところ, 門脈左枝から分枝する異常血管を指摘された.さらに腹部血管造影検査では同異常血管は左門脈から遠肝性に肝円索部に入り, 臍部臍で下腹壁静脈と吻合さらに右外腸骨静脈に流入しており, 臍静脈 (傍膀静脈) 開存と考えられた.なお肝硬変は指摘できなかった.膀静脈は出生直後に血流が途絶しやがて肝円索となるが, 本症例では何らかの原因で二次的門脈圧亢進を来し, 臍静脈 (傍臍静脈) が開存したものと考えられ, Cruveilhier-Baumgarten症候群と診断した.なお同静脈の血管性雑音やメズサの頭は認めなかった.稀な症例と思われ, 報告する.

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