下垂体を腎被膜下に移植した雄ラットの交尾行動

書誌事項

タイトル別名
  • Copulatory Behavior after Ectopic Pituitary Grafting in Male Rats
  • カスイタイ オ ジン ヒマクカ ニ イショクシタ オス ラット ノ コウビ コ

この論文をさがす

抄録

高齢時に発現する性機能減退の要因として高プロラクチン血症が考えられている。この点を明らかにするため, 交尾経験を有する若齢成熟雄ラットの腎被膜下に下垂体を移植することにより高プロラクチン血症動物を作出し, 高プロラクチン血症が交尾行動にどの様な影響を与えるのかについて検討した。乗駕 (MF) , 挿入 (IF) , 射精 (EF) 回数において, MFは両群間に統計的な差異は認められなかったが, IFおよびEFは下垂体移植個数に応じて減少し, 下垂体2個移植群と偽手術群との間には有意差が認められた。また, 乗駕潜時 (ML) , 挿入潜時 (IL) , 射精潜時 (EL) の各潜時と射精後挿入間間隔 (PEI) において, MLは下垂体2個移植群が僅かに高値を示したが偽手術群との間に有意差は認められなかった。ILは下垂体移植個数に応じて延長し, 下垂体2個移植群と偽手術群との間に有意な差異が認められた。ELとPEIでは, 下垂体移植個数に応じて延長する傾向を示した。さらに, 下垂体2個移植群と偽手術群のLH, FSH, Prolactin (PRL) およびTestosteroneの血中濃度を測定した結果, 下垂体移植群のPRLレベルは偽手術群よりも有意に高値を示した。以上の成績より, 下垂体移植若齢成熟ラットに観察された交尾行動の抑制は高齢ラットのそれと類似していた。このことは, 加齢に伴う雄ラットの交尾行動の減退が高濃度の血中PRLの持続の結果生じたものと推察された。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 42 (4), 579-583, 1993

    公益社団法人 日本実験動物学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ