向精神薬による急性薬物中毒の実態および関連する心理社会的要因についての考察:臨床心理士の立場からの提言

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical and psychosocial factors associated with deliberate self-poisoning using psychotropic medications at the emergency medical center
  • コウ セイシンヤク ニ ヨル キュウセイ ヤクブツ チュウドク ノ ジッタイ オヨビ カンレン スル シンリ シャカイテキ ヨウイン ニ ツイテ ノ コウサツ : リンショウ シンリシ ノ タチバ カラ ノ テイゲン

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抄録

救急医療の現場には,自殺企図や故意の自傷により受傷した患者が頻繁に搬送され,その多くが急性薬物中毒によるものであり,特に向精神薬の過量服薬が大部分を占めている。本研究では,北里大学病院救命救急センターに搬送された急性薬物中毒患者81名(男性:18名,女性:63名)を対象に質問紙調査を実施し,向精神薬の過量服薬の実態および関連する心理社会的要因について検討を行った。80名(98.8%)が何らかの精神障害に罹患していた。自殺念慮の有無における過量服薬した向精神薬の量に違いが認められなかったが,数時間以上前から過量服薬を考えていた患者は,衝動的に過量服薬した患者に比べて,摂取する量が有意に多かった。患者の心理社会的背景として,無職で家族・恋人・友人といった身近な人間とのトラブルを契機に衝動的に過量服薬する傾向が認められた。今後,精神障害の治療に加え心理社会的介入の必要性が示唆された。

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