6か月齢でLowe症候群と診断された1症例の歯科的所見

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タイトル別名
  • Dental Findings in 10-month-old Boy with Lowe Syndrome
  • Case Report

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抄録

Lowe 症候群は腎病変として近位尿細管機能障害(Fanconi 症候群),また腎外病変として先天性白内障および精神運動発達遅滞を主症状とするX 染色体劣性遺伝疾患である。本症候群では,近位尿細管におけるリンの再吸収が障害されるため,くる病を続発する場合がある。歯科口腔領域の異常は主にこの腎性くる病の口腔症状として表れる。今回我々は,先天性白内障を契機に生後6 か月でLowe 症候群と診断され,生後10 か月でAAの動揺を主訴に当科を受診した1 例を経験した。当科初診時は身長,体重とも-2SDで明らかな低身長,低体重を示していた。しかし当院小児科にて内科的投薬治療が行われており,腎性くる病の発症は認めなかった。デンタルエックス線検査では,AAの根は未完成で,歯根膜腔の拡大を認めた。しかし明らかな歯槽骨梁の粗鬆化,歯槽硬線の不明瞭化は認めなかった。したがって,AAの動揺の程度が根未完成歯にみられる生理的範囲内のものであるか病的なものであるかについて,判別は困難であった。さらに注意深く観察する必要がある。今後,患児の腎機能障害が悪化し,くる病を発症するリスクは高い。続発しうる口腔内症状の予防・早期発見・早期治療を目的に,定期的な口腔衛生指導と齲蝕予防管理を行う方針である。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 51 (4), 473-478, 2013

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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