Hallermann・Streiff 症候群に歯肉腫瘤を伴う先天歯を認めた1例

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タイトル別名
  • Treatment of Natal Tooth in Hallerman-Streiff Syndrome
  • Case Report

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抄録

Hallermann・Streiff 症候群は,骨格形成不全,特有の顔貌,貧毛,皮膚症状,眼症状,歯牙の異常を特徴とする先天性疾患である。我々は,本症候群に先天歯を合併した症例を経験した。先天歯は上顎前歯部に認められ,歯肉腫瘤を伴っていた。また出生直後から経口哺乳が困難で,口から経管栄養チューブが常時挿入されていた。これによる物理的刺激も加わり,先天歯は著しく動揺していた。デンタルエックス線所見では,歯根形成は認めなかった。患児は本症候群に特徴的な小口・小顎・胸郭低形成など,気道および呼吸器系の形態異常も合併していた。先天歯が口腔内に脱落した場合,迅速に発見し除去することは困難で,誤嚥・気道閉塞のリスクが極めて高いと考えられた。したがって局所麻酔下にて歯肉腫瘤と先天歯を一塊として切除した。患児は日齢195 日で当院NICU を退院した。しかし日齢204 日で,自宅にてミルクの誤嚥を契機とする呼吸不全から心肺停止に至り,蘇生処置に反応せず死亡した。本症例のように,顎顔面および気道の解剖学的形態異常を伴う場合には,偶発的な先天歯の脱落により,気道閉塞から呼吸不全・心肺停止に至るリスクが高くなる。この点を念頭に置いて先天歯に対処することが重要である。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 51 (4), 461-466, 2013

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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