生殖発生毒性試験

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タイトル別名
  • Reproductive and developmental toxicity study

抄録

製薬企業では新薬の開発にあたり生殖発生毒性試験として、3種類の動物実験を実施し、妊娠と授乳に及ぼす影響を評価している。生殖発生毒性試験のガイドラインは1961年のサリドマイド事件を契機に、1963年に通知されたのが始まりである。1975年には3節試験ガイドラインに改訂が行われ、さらに、1994年には国際協調されたICHガイドラインへと発展した。試験の結果として、母動物の一般毒性学的影響、母動物の生殖に及ぼす影響、次世代の発生に及ぼす影響の3つのカテゴリーごとに無毒性量が評価される。<br> 受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験は交配前から交尾、着床に至るまでの被験物質の投与に起因する毒性および障害を検索する試験である。雌では性周期、受精、卵管内輸送、着床および着床前段階の胚発生に及ぼす影響を検索する。雄では生殖器の病理組織学的検査では検出されない機能的影響(例えば性的衝動,精巣上体内の精子成熟)を検索する。<br> 出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験は着床から離乳までの間、雌動物に被験物質を投与し、妊娠および授乳期の雌動物、受胎産物(胎盤を含む胚・胎児)および出生児の発生に及ぼす悪影響を検索する試験である。この試験で誘発される影響は遅れて発現する可能性があるので、観察は出生児が性成熟期に達するまで継続する。出生前および出生後の児(胚、胎児および出生児)の死亡、成長および発達の変化、行動、成熟(性成熟を含む)および生殖を含む出生児の機能障害を検索する。<br> 胚・胎児発生に関する試験は着床から硬口蓋の閉鎖までの期間中雌動物に被験物質を投与し、妊娠動物および胚・胎児の発生に及ぼす悪影響を検索する試験である。着床から硬口蓋の閉鎖までの期間は胎児の器官が形成される時期であり、妊娠期間中で最も奇形が起こりやすい期間である。胚・胎児の死亡、成長の変化および形態学的変化を検索する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680523285632
  • NII論文ID
    130005008625
  • DOI
    10.14869/toxpt.39.1.0.ms1-5.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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