血管平滑筋細胞遊走および血管リモデリングにおけるレドックス感受性転写因子Nrf2の役割
書誌事項
- タイトル別名
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- Role of the redox-sensitive transcription factor Nrf2 in vascular smooth muscle cell migration and vascular remodeling
抄録
血管傷害後の組織修復は、血管平滑筋細胞(VSMC)の遊走が重要な役割を担っている。しかし、酸化ストレスによりVSMCの機能が障害されると修復段階で過剰な血管内膜の肥厚が生じ、動脈硬化につながると示唆されている。生体内において酸化ストレス防御の中心的な役割を果たしているのが、細胞内レドックス変化に鋭敏に応答し、各種抗酸化酵素の遺伝子発現を統合的に制御する転写因子Nrf2である。本研究では、まだ明らかにされていないNrf2のVSMC遊走および血管傷害後の内膜肥厚における役割について検討を行った。VSMC遊走を惹起する血小板由来増殖因子(PDGF)によりNADPHオキシダーゼ活性化を介して産生される活性酸素種(ROS)は、セカンドメッセンジャーとしてPDGFのシグナル伝達の一端を担うが、同時に酸化ストレスを引き起こすと考えられる。本研究においても、VSMCへのPDGF(25 ng/mL)刺激により、NADPHオキシダーゼの構成分子Rac1の活性(227%)と、細胞内のROSレベル(133%)が上昇した。また並行して、Nrf2の核移行とその標的遺伝子であるNAD(P)H:quinone oxideresuctase-1(287%)、heme oxygenase-1(678%)、thioredoxin-1(213%)の誘導が観察された。そこで、siRNAを用いてNrf2阻害実験を行った結果、対照群と比較してPDGF刺激によるRac1活性化(174%)とROSレベル上昇(150%)が増強し、その下流シグナル伝達因子ERKのリン酸化が持続した。さらに、VSMCにおけるNrf2の機能的意義について細胞遊走アッセイにより確認したところ、Nrf2 siRNA処置によりPDGFによる細胞の遊走能が増強(182%)した。また、マウス大腿動脈ワイヤー傷害モデルを用いた解析により、Nrf2遺伝子欠損マウスにおいて新生内膜の肥厚が亢進した。以上の結果から、Nrf2はPDGF刺激によるROSの産生と消去を制御することで、VSMC遊走と血管リモデリングを調節していることが示唆された。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 39.1 (0), P-110-, 2012
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680523317760
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- NII論文ID
- 130005008706
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可