発がん標的性の異なる発がん物質のラット28日間反復投与時の各標的臓器における肝発がん物質反応指標の発現変動

DOI
  • 八舟 宏典
    東京農工大学 獣医病理学研究室 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • 谷合 枝里子
    東京農工大学 獣医病理学研究室 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • 林 仁美
    東京農工大学 獣医病理学研究室 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • 盛田 怜子
    東京農工大学 獣医病理学研究室 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • Wang LIYUN
    東京農工大学 獣医病理学研究室
  • 鈴木 和彦
    東京農工大学 獣医病理学研究室
  • 三森 国敏
    東京農工大学 獣医病理学研究室
  • 渋谷 淳
    東京農工大学 獣医病理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Application of hepatocarcinogen-responding markers to other carcinogenic target organs in rats treated with carcinogens targeting other organs for 28 days

抄録

【目的】肝発がん物質の実験動物への反復投与により、肝細胞に細胞周期異常を反映した巨大核が出現する場合があり、近年、巨大核出現のメカニズムに染色体の不安定性増加に引き続く発がんに至る過程の存在が推定されている。我々はこれまでに、肝発がん物質に反応する早期指標探索により、巨大核誘発性の有無にかかわらず、G1/S期のチェックポイントで機能するp21Cip1、G2/M期に機能しM期の進行に関わるCdc2、M期関連分子の陽性肝細胞の増加を見出した。今回、これらを発がん指標候補とし、発がん標的性が異なる発がん物質の28日間反復投与時の反応性を検討した。【方法】甲状腺、膀胱、大腸、前胃及び腺胃を標的とした発がん物質の発がん・発がん促進用量の28日間反復投与実験を実施した。甲状腺ではsulfadimethoxine(SDM)、膀胱ではphenylethyl isohiocyanate(PEITC)、大腸ではchenodeoxycholic acid(CDCA)及び2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo [4,5-<i>b</i>]pyridine(PhIP)、前胃ではbutylated hydroxyanisole(BHA)、腺胃ではcatechol(CC)を用い、発がん陰性対照として、遺伝毒性非発がん物質であるcaprolactamの発がん性が知られていない最大用量を設定した。【結果】細胞増殖指標のKi-67、Cdc2、M期分子であるAurora B及びp-Histone H3はSDM(甲状腺)、PEITC(膀胱)、BHA(前胃)及びCC(腺胃)で無処置及び発がん陰性対照群に比して陽性細胞が増加した。M期分子であるHP1αはBHAで、p21Cip1はSDM及びCCで両対照群に比して陽性細胞が増加した。一方、大腸を標的としたCDCA及びPhIPはどの指標候補も変動しなかった。【考察】28日間の反復投与により、標的臓器細胞に対して細胞増殖活性の亢進を示す発がん物質は、M期異常を反映する分子発現変化を示してM期に留まる細胞を増加させる可能性が示唆された。これらの分子は細胞増殖活性と組み合わせることで、発がん物質の早期指標候補となる可能性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680522982272
  • NII論文ID
    130005008725
  • DOI
    10.14869/toxpt.39.1.0.p-128.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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