ラットにおけるVerapamil投与で誘発される骨格異常について

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  • Skeletal anomalies induced by Verapamil in rats

抄録

カルシウム拮抗薬において、ジヒドロピリジン系のNifedipine並びにベンゾチアゼピン系のDiltiazemではラットにおいて胎児骨格異常を誘発することが報告されている。しかし、上記と構造の異なるフェニルアルキルアミン系のVerapamil(VER)ではそのような報告はされていない。本実験ではVERの骨格形成に及ぼす影響を検討するために以下の実験を行った。VERの30 mg/kg, 30 mg/kg tid及び100 mg/kgを妊娠11日(交配確認日=妊娠0日)のラットに経口投与し、妊娠21日に帝王切開を実施した。生存胎児全例について外表観察を行った後、骨軟骨二重染色を施し、骨の発生に及ぼす影響について検討した。VER投与により母動物の自発運動の低下、腹臥位及び体温の低下が投与約1時間後より翌日まで認められた。母動物体重は100 mg/kg群で、さらに摂餌量は30 mg/kg tid及び100 mg/kg群で妊娠12日に減少を示した。帝王切開所見では、30 mg/kg tid及び100 mg/kg群で着床後胚死亡率の増加傾向並びに生存胎児数の減少傾向が認められた。性比(♂/♀+♂)はそれらの群で減少傾向を示した。さらに生存胎児体重の減少が30 mg/kg tid及び100 mg/kg群で認められた。VER投与による外表異常は認められなかった。骨格観察では、30 mg/kg tid及び100 mg/kg群で主に腰椎から仙椎にかけての椎体並びに椎弓の欠損、癒合、小型化等の骨格異常が認められ、異常の発現頻度は各々4.3%及び29.8%であった。それらのVER投与群では少数例ではあるが仙椎横突起の形態異常を伴う過剰腰椎、過剰腰椎の仙椎化、過剰仙椎及び不完全な過剰仙椎が認められた。骨格変異は全てのVER投与群で認められ、変異の種類は異常に関連した変化であり、発現頻度は30 mg/kg、30 mg/kg tid及び100 mg/kg群で各々5.0%、8.6%及び52.6%であった。以上、VERを妊娠11日のラットに経口投与することで、腰椎及び仙椎を主とした骨格異常及び変異が認められ、他のカルシウム拮抗薬と同様に胎児骨格異常を誘発することが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680522737920
  • NII論文ID
    130005008915
  • DOI
    10.14869/toxpt.39.1.0.p-71.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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