重金属によるメタロチオネイン遺伝子の転写制御

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タイトル別名
  • Mechanisms of heavy metal-mediated metallothionein gene transcription

抄録

カドミウム結合タンパク質として馬の腎臓皮質で発見されたメタロチオネイン(MT)には、MT-I~IVまで4つのサブファミリーがあり、このうちMT-IおよびIIが広範な臓器で発現している。また、MT-IおよびII遺伝子の転写は、必須微量元素である亜鉛や銅、有害重金属であるカドミウムや水銀などにより活性化され、合成されたMTタンパク質がこれら重金属と結合することで亜鉛や銅の恒常性維持、有害重金属の毒性軽減に関わっていることが知られている。このような重金属に応答したMT誘導メカニズムの解明は、重金属解毒機構を理解する上で不可欠あることから精力的に研究が行われ、1990年代前半には、重金属依存的なMT誘導に関わるシスエレメントとしてmetal response element (MRE)、転写因子としてMRE-binding transcription factor-1 (MTF-1)が同定された。しかしながら、その詳細な重金属依存的転写活性化機構については、MTF-1の発見から20年近くたった今もなお、完全には解明されていない。特に、in vitroにおいてMTF-1のMREへの結合を促進する重金属は亜鉛だけであることから、亜鉛以外の重金属によるMT遺伝子の転写活性化機構は亜鉛による誘導に比べて複雑であると予想されてはいるが、その詳細は不明である。本シンポジウムでは、種々MTF-1変異体を用いた解析結果をもとに、亜鉛応答ドメインとMTF-1タンパク質が亜鉛を感知するメカニズムを紹介する。また、亜鉛以外の重金属によるMT遺伝子の転写活性化機構として、亜鉛シグナルへの置換、各種リン酸化カスケードの関与の可能性を含め、いくつかの仮説を紹介する。さらに、MTF-1と複合体を形成するタンパク質群を紹介し、重金属応答との関連性について考察する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205545629056
  • NII論文ID
    130005008953
  • DOI
    10.14869/toxpt.39.1.0.s10-2.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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