錐体筋とその支配神経

DOI
  • 時田 幸之輔
    新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座
  • シャーマ バンネヘカ
    新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座
  • 鈴木 了
    新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座
  • 宮脇 誠
    新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座
  • 千葉 正司
    新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座
  • 熊木 克治
    新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座

抄録

【はじめに】錐体筋支配神経の起始分節、走行経路、分布について前下腹壁・側腹壁の構成との関係に注意して精査した。<BR>【対象と方法】平成14から16年度までの新潟大学医学部解剖学実習解剖体のうち十分な調査が可能であった34体52側について主として肉眼解剖学的に観察を行った。<BR>【結果】側腹筋の3層の腱膜が癒合して腹直筋鞘を作るが、錐体筋が存在する前下腹壁では腹直筋鞘後葉を欠き、腹直筋後面は横筋筋膜に被われている。腹直筋鞘前葉は3層の側腹筋腱膜が癒合してできるが、第1層の外腹斜筋腱膜は容易に剥離でき、第2層の内腹斜筋腱膜も浅・深の2葉に分離できた。そして第3層の腹横筋腱膜は内腹斜筋腱膜深葉に強く癒合していた。また、錐体筋は内腹斜筋腱膜の浅葉と深葉の間(第2層浅-深間)に存在していた。次に、錐体筋支配神経の走行経路は4型に分類できた。A(6側):側腹壁で終始内腹斜筋と腹横筋の間(第2-3層間)を走行し、腹直筋外側縁より腹直筋鞘内に進入、腹直筋の表面を走行し腹直筋の小部分をかすめるように貫く。ここで腹直筋鞘前葉を貫く前皮枝を分枝し、筋枝はしばらくそのまま腹直筋表面を走行し、錐体筋外側縁近傍で内腹斜筋腱膜深葉を貫き浅層へ向かい、第2層浅-深間に入り、上方より錐体筋外側縁から筋に進入した。また進入する部位は比較的停止部に近かった。B(40側):第2-3層間を走行した後、外腹斜筋と内腹斜筋の間(第1-2層間)へ移行し、腹直筋鞘に入らず、浅鼠径輪近くで外腹斜筋腱膜と内腹斜筋腱膜浅葉の間(第1-2層浅葉間)に移行し、外腹斜筋腱膜を貫く皮枝を分枝する。筋枝はそのまま第1-2層浅葉間を走行し、第2層浅葉を貫き深層へ向かい第2層浅-深間に入り錐体筋の外側縁近くで筋表面より進入した。進入位置はAより幾分低い。C(4側):Bと同様に第2-3層間より第1-2層間へ移行し、浅鼠径輪を通り外陰部に向かう皮枝を分枝し、筋枝は浅鼠径輪を通過直前で分枝し、第1-2層浅葉間をやや上方に向かって走り、 第2層浅葉を貫き筋の表面より筋に進入した。進入部位はBよりやや低く起始部に近く内側で正中線に近い。D(2側):鼠径靱帯近くで腹横筋を貫き、鼠径管を通りCと同様に浅鼠径輪通過直前で分枝し、第1-2層浅葉間で恥骨結節上縁近傍を通過し、B・C同様の経路で筋に進入していた。進入部位は錐体筋の起始部近くでCよりもさらに内側で正中線に近かった。また、A、B、C、Dそれぞれの経路を取るときの皮枝を含めた錐体筋支配神経の起始分節はA:Th12またはTh12+L1(ただしL1の成分はわずか)、B:L1またはTh12+L1(Th12成分はわずか)、C:L1、D:L1+L2であった。<BR>【考察】錐体筋支配神経の起始分節が尾側方向へ変化するとその走行経路もより尾側方向の経路を取り、筋枝の進入部位もより下内方へ変化し、起始分節が頭側へ変化すると経路は頭側へ、進入部位はより上外方へ変化することが示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), A0418-A0418, 2005

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540407168
  • NII論文ID
    130005012060
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.a0418.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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