急性期被殻出血例と視床出血例の基本動作能力の比較

DOI
  • Takakura Yasuyuki
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科 国際医療福祉大学大学院
  • Takahashi Yoshie
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科 国際医療福祉大学大学院
  • Osumi Takashi
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科
  • Kawamura Tsuyako
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科
  • Inoue Erina
    富家病院
  • Koseki Yosaku
    富家病院
  • Kusanov Shusuke
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科
  • Yamamoto Mitsuru
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科
  • Oi Naoyuki
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科
  • Suyama Tetsuo
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科

Abstract

【目的】脳出血例では被殻出血および視床出血例の頻度が高く、合わせると脳出血例の約70%を占めるといわれる。機能的予後では、被殻出血例の予後が良いとされている報告が多いが、急性期の基本動作能力を包括的に研究した報告はみられない。本研究の目的は、脳出血の代表である被殻出血と視床出血例を比較し、急性期における基本動作能力の特徴を検討することである。<BR>【方法】対象は当院に入院し、初回発症で理学療法を行った被殻出血33例と視床出血26例とした。年齢は被殻出血が61.4±12.2歳(平均±標準偏差)、視床出血が61.6±12.3歳、性別は被殻出血が男性21例、女性12例、視床出血が男性19例、女性7例となり、両群には有意差を認めなかった。基本動作能力は機能的動作尺度(以下、FMS)を用い、急性期病院の平均在院日数である発症後3週間(被殻出血21.4±2.0、視床出血20.9±1.8日)の時点での評価結果を採用した。基本動作能力に影響を与える可能性のある因子として、年齢、意識、上肢麻痺、下肢麻痺、表在覚、振動覚、位置覚、半側無視をあげた。意識では日本昏睡尺度(JCS)、上肢麻痺および下肢麻痺ではブルンストロームステージを用いた。表在覚および振動覚、半側無視は4段階、位置覚は3段階で評価基準を定め、いずれも数字が大きくなるほど障害が強くなるよう設定した。統計学的解析にはSPSS for Windows 12.0Jのt検定、Spearmanの順位相関係数を用い、危険率は5%とした。<BR>【結果】FMS合計点は、被殻出血が17.5±17.0点、視床出血が14.5±15.0点となり、両群間には有意差を認めなかった。FMS合計点と各因子との相関をみると、被殻出血では年齢-0.17、意識-0.63、上肢麻痺0.73、下肢麻痺0.77、表在覚-0.51、振動覚-0.64、位置覚-0.58、半側無視-0.48、視床出血では年齢-0.22、意識-0.61、上肢麻痺0.78、下肢麻痺0.78、表在覚-0.65、振動覚-0.73、位置覚-0.52、半側無視-0.66となった。両群とも年齢以外の各因子と有意な相関を認めたが、視床出血では被殻出血に比べ表在覚や振動覚、半側無視でより高い相関を示した。麻痺側別で比較すると、被殻出血では右麻痺17.7±17.3点、左麻痺17.1±17.2点となり有意差を認めなかったが、視床出血では右麻痺23.7±14.2点、左麻痺5.2±8.9点と有意な差を認めた。<BR>【考察とまとめ】発症後3週間という短期間では被殻出血と視床出血に差はみられないが、右視床出血では機能的予後が著しく不良であることがわかった。左右差については、大脳半球で論じられることが多く、右半球損傷例の機能的予後が比較的不良であることが知られているが、今回の結果からは視床も機能的予後の左右差に強く関わっている可能性が示唆された。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541632896
  • NII Article ID
    130005012481
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.b0878.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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