ラット膝関節拘縮モデルにおける神経周膜の組織学的変化
Abstract
【目的】理学療法の治療手技の中に神経モビライゼーションがあり、関節可動域制限を改善する目的で用いられている。神経の運動性、滑走性は神経上膜にあるとされ、この部分に対するアプローチにより治療効果を上げるとされるが、その妥当性、有効性についての検討は臨床経験にのみ基づいており、医学的エビデンスはない。そこで今回、ラット膝関節拘縮モデルと正常群を比較し、坐骨神経の神経上膜の組織学的変化を光学顕微鏡を用いて観察した。<BR><BR>【方法】対象として9週齢のWistar系雄ラット18匹(体重240g~280g)を用いた。ラットを麻酔後、アルミ製金網で自作した固定用ギプスを用いて左後肢を膝関節最大屈曲位にて固定し、股関節と足関節は固定の影響が及ばないように留意した。その後、2週間飼育し、膝関節屈曲拘縮モデルを作成した。右後肢は自由とし、正常コントロールとして用いた。ラットはケージ内を自由に移動でき、水、餌は自由に摂取可能であった。固定期間中は創と浮腫の予防に留意し、また固定用ギプスが外れた場合には速やかに再固定を行った。固定解除後にエーテル深麻酔で安楽死させ、両下肢を股関節より離断し標本として採取した。固定、脱灰を行った後に大腿骨の中間部にて大腿骨に垂直に切断し、大腿部断面標本を採取した。その後中和、パラフィン包埋を行い、ヘマトキシリン・エオジン染色を行い光学顕微鏡下で坐骨神経の神経上膜を病理組織学的に観察した。<BR><BR>【結果】神経上膜に相当する部分には、脂肪組織と疎性結合織、血管などが観察された。2週間固定群ではコントロール群に比べ、神経上膜の脂肪細胞の萎縮と疎性結合織の密性結合織への変化を観察し、さらに肥厚した神経周膜と連続する像が観察された。<BR><BR>【まとめ】神経の運動性、滑走性が神経上膜の柔軟性に依存しているとするなら、今回坐骨神経の神経上膜に認められた変化によりその柔軟性が低下したと考えられ、神経上膜における神経の運動性、滑走性の低下を来した可能性が示唆された。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2006 (0), A0458-A0458, 2007
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680539995648
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- NII Article ID
- 130005013308
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed