電気刺激の刺激特性が大脳皮質運動野へ及ぼす影響

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  • 刺激筋および拮抗筋支配領域における検討

抄録

【目的】治療的電気刺激は弱化筋や麻痺筋の回復などを目的に広く使用されている。この電気刺激による生体への影響は筋収縮以外に体性感覚入力や筋収縮による二次的な求心性入力が生じる.これらの入力による上位中枢に及ぼされる効果は多大なものがあると考えられる。今回、電気刺激の刺激パラメータ(周波数,強度,train)が上位運動中枢に及ぼす影響を経頭蓋磁気刺激(TMS)による運動誘発電位(MEP)を指標に検討した. <BR>【対象および方法】対象は健常成人20名(男性8名、女性12名、年齢21-30歳)とした。被験者に実験の目的を十分に説明し,書面による同意を得て行った.電気刺激は電気刺激装置(日本光電社製;SEN-7203)によって刺激パラメータを操作設定し,isolator(日本光電社製;SS-104J)によって刺激を行った.刺激筋は右前腕の橈側手根屈筋(FCR)とした。刺激パラメータは(1)刺激の強さ:感覚閾値(ST)と運動閾値(MT)を測定しSTの1.3,1.5倍,MTの1.1,1.3,倍の合計4つの刺激強度を検討した(刺激周波数;100Hz).(2)刺激周波数:1Hz,10Hz,100Hz,1000Hzの4種類の刺激周波数を比較した(各周波数5trainの刺激).(3)刺激train:10Hz;5・50train,100Hz;50・500train,1000Hz;50,・500trainで刺激筋の安静時と随意収縮時(最大収縮の5%;5%MVC)の2通りの条件で行った((2),(3)の実験では刺激強度はST1.3倍に統一). TMS(Magstim社製;Magstim-200)はFCRと橈側手根伸筋(ECR)からMEPを同時に導出した.TMSは各電気刺激条件で最終の刺激パルスから50ms後に与えた(刺激強度;MEP閾値の1.1~1.3倍,各条件;MEPを10-15回記録).データ処理はFCR,ECRのMEP振幅(mV)を計測し,controlに対する比を算出し分析検討を行った.<BR>【結果および考察】刺激強度は強くなるにつれてFCR,ECRともに有意なMEPの増大が認められ(Friedman検定:P<0.05),強度が強いほど刺激筋と拮抗筋の皮質運動野の興奮性は増大し,相反する効果は認められなかった.刺激周波数の効果は周波数が大きくなるにつれて両筋のMEPはともに増大する傾向を示した(N.S).周波数増加による時間的加重の増大が考えられる.trainの増大による影響は刺激筋が安静状態にある場合,刺激筋,拮抗筋ともにMEPの興奮性の増大が認められた(各P<0.05).一方,随意収縮を行うとその変化は一変し,ECR(拮抗筋)のみ有意な抑制を示した(100,1000Hz:P<0.05).以上の結果から,刺激パラメータの変化と筋収縮の状態により皮質運動野に対する影響は異なることが示唆された.<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), A0194-A0194, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205568168064
  • NII論文ID
    130005014718
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.a0194.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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