脳血管障害患者における活動範囲とFIM・歩行能力との関連性について

DOI
  • 高井 浩之
    特定・特別医療法人慈泉会相澤病院訪問リハビリテーションセンター
  • 鈴木 修
    特定・特別医療法人慈泉会相澤病院訪問リハビリテーションセンター
  • 白木 小百合
    特定・特別医療法人慈泉会相澤病院訪問リハビリテーションセンター
  • 大竹 喜子
    特定・特別医療法人慈泉会相澤病院訪問リハビリテーションセンター
  • 岩波 潤
    特定・特別医療法人慈泉会相澤病院訪問リハビリテーションセンター

抄録

【目的】訪問リハビリの目的の一つとして、自宅生活を送る中で、屋外への外出機会を提供し活動範囲を広げていくことがあげられている。そこで今回は、活動範囲とFunctional Independence Measureの運動項目(M-FIM)との関連性、歩行能力・12段階片麻痺グレード(下肢12Grade)との関係から活動範囲の拡大について検討する。<BR>【方法】平成19年10月現在、当院での訪問リハビリを実施している脳血管障害患者のうち、歩行が自立、日常生活自立度判定基準でランク1以上の認知機能を有する106名(男性58名、女性48名、平均年齢70.1±12.2歳)を対象とした。活動範囲はLife-Space-Assessment(LSA)、日常生活能力はM-FIM(91点満点)、身体機能は下肢12Grade、歩行能力は連続歩行時間・連続歩行距離で評価した。対象者の生活範囲レベルをLife-Space(LS)に分類し(LS1:自宅内、LS2:自宅周辺、LS3:隣近所、LS4:町内、LS5:町外)、LSと上記評価項目との関係・関連性を調査した。統計的手法はSpearmanの順位相関係数とWilcoxonの順位和検定を用い、5%を有意水準とした。<BR>【結果】1.LSAとM-FIMに相関を認めた(p<0.01)。2.LS分類でのM-FIMの平均値は、LS1:72.3点(46名)、LS2: 77.5点(28名)、LS3: 79.8点(18名)、LS4:82.5点(13名)、LS5: 86.2点(5名)であり、LS1とLS2~5(p<0.01) 、LS5とLS2~3 (p<0.05)との間で有意差を認めた。3.LSA全体と下肢12Grade間、各LSと下肢12Grade間には共に有意差は認められなかった。4.各LSと歩行能力には連続歩行時間・連続歩行距離が増えるにつれて、LSが広がる傾向が見られた。<BR>【考察】Claireらは生活範囲とADLには相関があると報告している。今回の研究でも、M-FIMが高いほど生活範囲が広くなるといった結果が得られ、M-FIMの改善は廃用性障害の予防や引きこもり防止に繋がると考えた。LS1・2(屋内)とLS3・4(屋外)に着目してみると、歩行能力との関連が強い傾向にあった。本研究においては、LS3・4では連続歩行時間が10分以上で連続歩行距離が100m以上有する確率が100%であることから、この値は屋外に活動範囲を広げるための一つの条件になると考えられる。一方、上記の条件を満たしていながらもLS2以下であるケースも存在した。福田らの報告では、屋外での活動には、活力、健康度、心理的社会能力との関連があると報告している。歩行能力やM-FIMが高く、屋外活動範囲が狭いケースは、身体機能以外の何らかの因子が影響していると思われ、今後さらに原因追及をして活動範囲の拡大に寄与していきたい。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), E1672-E1672, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205568388736
  • NII論文ID
    130005016222
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.e1672.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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