間欠的低レベルレーザー照射が筋疲労に及ぼす影響
抄録
【はじめに】<BR> 筋疲労により筋張力低下や運動制御の障害,筋肉痛などが発生する.Vollestadは筋疲労を運動による最大筋張力発揮能力の減少と定義している.近年Low-level-laser therapy (LLLT)が筋疲労による筋力低下を改善すると報告されているが,LLLTは持続的にレーザーが照射されるため熱発生の問題がある.今回われわれは,電気刺激にて筋疲労を生じさせたラットを用いて間欠的なレーザー照射(pulse-low-level-laser therapy; PLLLT)が筋疲労を抑制可能か検討した.<BR>【方法】<BR> 対象は成熟Wistar系雄ラット3匹である.被験筋は腓腹筋内側頭とした.ラットを麻酔後,固定用フレームを用いて右後肢および骨盤を固定した.双極性カフ電極(MD Giken, Japan)を坐骨神経に貼付した.腓腹筋は踵骨付着部で切離し,トランスデューサー(ORIENTEC Co., Japan)を取り付けた.なお本実験は秋田大学医学部動物実験倫理委員会の了承を得て実施した.<BR> 3匹の成熟Wistar系雄ラットをレーザー照射(N=1)およびコントロール群(N=2)に無作為に割り当てた.両群で20Hzの低頻度刺激を間欠的に行った(オン/オフ:4秒/16秒).20回反復し,2分間の休息後に,再度間欠的刺激を20回行った.電気刺激は腓腹筋内側頭が強直性収縮する強度とした.レーザー照射は,電気刺激を行う前に0.67J/cm2で照射を行った.レーザー照射(Mochida Siemens Medical Systems Co.,Ltd. Japan)のパルス出力は1W(オン/オフ:20ミリ秒/180ミリ秒)で,波長は830nmであった.<BR>測定項目は,刺激開始時の最大張力および間欠的収縮時の各筋張力とした.また,筋疲労の経時的変化を確認するため,初期張力で各収縮時の筋張力を除し標準化した.<BR>【結果】<BR> 全例ともに刺激回数の増加により筋張力は徐々に低下した.前半20回目の電気刺激時でレーザーを照射した筋張力は58%であり,コントロール群は41%および38%であった.後半20回目の電気刺激終了時でレーザー照射した筋張力は42%でコントロール群は25%および23%であった.<BR>【考察】<BR>臨床上LLLTの効果に対する報告は多数みられる.LLLTによる疼痛の治療や創傷治癒促進の機序は血流増加が1要因と考えられている.しかし,LLLTによる筋疲労に関する報告は少なく,特にPLLLTに関する報告はない.本研究においてPLLLT後に筋疲労が減少する傾向がみられた.可能性の1つとしてpulse-low-level-laserにより筋血流量が増加し筋のコンディショニングが向上したことが考えられる.今後例数を増加し,更にレーザー治療による筋疲労抑制効果を検討する必要がある.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), F1017-F1017, 2008
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680544974720
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- NII論文ID
- 130005016248
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可