ストレッチポールを用いたコアコンディショニングが立位姿勢,体幹可動性,および歩行に与える即時的効果

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抄録

【目的】<BR> ストレッチポールを用いたコアコンディショニングの中でも基本的エクササイズである"ベーシックセブン"の効果として,これまでに脊柱アライメントや体幹や肩関節の柔軟性改善が報告されている.しかしながら,"ベーシックセブン"が姿勢や動作に及ぼす影響は明らかにされていない.そこで本研究では,ストレッチポールを用いたコアコンディショニングが立位姿勢と体幹可動性,歩行にどのような影響をもたらすのか把握することを目的とした.<BR>【方法】<BR> 健常な大学生30名(男性15名,女性15名)を対象とした.年齢は18~22歳(平均年齢19.8±1.4歳)であった.この30名を15名ずつ,ストレッチポールを使用してベーシックセブンを実施する群(SP群)とストレッチポールを用いずにベーシックセブンを実施する群(C群)の2群に割付した.なお,"ベーシックセブン"とは,リラクゼーションを目的として3つの静的な体操と7つの動的な体操で構成されている.測定指標は,立位姿勢,体幹可動性,歩行解析とした.立位姿勢は,矢状面における頭部の前方変位の指標として,背中に壁が接するように立位姿勢をとり耳介から背中への垂線の距離を用いて計測した.また前額面における両側の肩峰もしくは前上腸骨棘を結ぶ線の傾斜角度,体幹可動性として体幹屈曲・伸展・側屈時の体幹傾斜角度を,傾斜計を用いて計測した.歩行分析として,トレッドミルZebris(ゼブリス社製 FDM-T)を使用し,歩行速度は自由歩行にて20秒間を1回の測定した.指標はcadence,ステップ長,ステップ時間, COP軌跡長(Heel Contactから Toe offまでに歩行時の足圧中心の移動した距離)として左右の平均値を求めた.また左右下肢の均等性の指標としてステップ長の左右の比率も算出した.統計学的処理として,2群間の比較として各項目の介入前後の変化量について対応のないt-testを行った.尚,有意水準は危険率5%未満とした.<BR>【説明と同意】<BR> 本研究は,本学倫理委員会の承認(承認番号10-04)を得て実施した.被検者に対して,事前に研究の趣旨・内容について口頭により説明し,書面により承諾を得た.<BR>【結果】<BR> 立位姿勢では,SP群がC群よりも腸骨稜の前傾が減少した(p=0.014).体幹可動性ではSP群とC群の間に著明な差は認められなかった.トレッドミルによる歩行解析では,ステップ長の変化量はSP群1.1±1.6cm,C群0.7±1.8cmといずれの群も延長する傾向にあったが,2群間で差は認められなかった.一方,ステップ長の左右比はSP群でより1に近づき,左右下肢が均等に振り出される傾向を認めた.さらに左右比の介入前後の変化量は,SP群が3.9±3.5%,C群0.4±1.6%と,SP群がC群よりも有意に大きく,ストレッチポール介入後に左右差が減少する傾向を認めた.<BR>【考察】<BR> ストレッチポールによる"ベーシックセブン"の即時効果として,骨盤前傾が減少する傾向にあった.ストレッチポール上に背臥位となることによって仙骨を後傾し,"ベーシックセブン"を行うことによって多裂筋をはじめとする脊柱起立筋群がリラクゼーションすることが期待できる.このことから即時的効果として立位姿勢において骨盤後傾位とつながったと考えられた.歩行時においてSP群ではステップ長の左右均等化していたことから,脊柱起立筋群を含めた筋のリラクゼーションが得られ,脊柱のアライメントが直立化したことにより,体幹回旋運動も左右対称に行いやすくなったことが要因と推察される.しかしながら立位姿勢における骨盤前傾の減少という変化が歩行の測定項目に反映されていなかった.今後は継時的に観察することにより,歩行へ影響を及ぼす要因についても検討していきたい. <BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 今回,健常者を対象としたストレッチポールによるエクササイズの即時的効果について検証し,立位姿勢や歩行時における左右差の相違を解消する手段になり得ることを示唆した.ストレッチポールを用いたパッケージ化されたエクササイズは,理学療法士の経験いかんにとらわれることなく,ある程度の効果を得られることから,適応を考慮した上で.基礎的エクササイズとして活用できる可能性があると考える.

収録刊行物

  • 日本理学療法学術大会

    日本理学療法学術大会 2010(0), EdPF1046-EdPF1046, 2011

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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