加熱した成熟カボチャにおける貯蔵細胞の糊化デンプンと甘味

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タイトル別名
  • Gelatinized starch of starch-storing cells and sweetness in heated ripe pumpkins

抄録

 収穫時期から月日が経って成熟したカボチャのロロンと坊ちゃんにおけるデンプン貯蔵細胞の加熱による糊化デンプンの性状と加熱の違いによる甘味との関連をみるために、本研究をおこなった。<br> 材料は市販のカボチャ:ロロンと坊ちゃんを12月に購入した。材料は、茹でたものと蒸したものを用いた。加熱した材料を冷まし、生の材料とともに急速に凍結し、コールドミクロトームで薄切した。切片を過ヨウ素酸・シッフ液およびヨウ素液で染めた。茹でたカボチャと蒸したカボチャの味を比較した。<br> ロロンにおけるデンプン粒は多く、坊ちゃんのデンプン粒は非常に少なかった。加熱したロロンのデンプン貯蔵細胞は、中果皮において糊化したデンプンで一様に埋められた。加熱した坊ちゃんのデンプン貯蔵細胞は、外果皮に近い部位を除いて、中果皮のすべてで、糊化デンプンはなかった。茹でたロロンのデンプン貯蔵細胞では、ヨウ素染色により、多くの糊化デンプンは、濃い青に染まり、焦げ茶や茶色に染まった糊化デンプンもあった。細胞間に、青く染まった長鎖デンプンが存在した。蒸したロロンの中果皮の外果皮に近い部位では、デンプン貯蔵細胞の糊化デンプンは、濃い青に染まった。中程から内果皮に近い部位では、茶色に薄く染まった糊化デンプンが多く、この糊化デンプンの中に青く染まった長鎖デンプンが散在した。細胞間の長鎖デンプンは少なかった。蒸したロロンは、甘く、茹でたロロンよりも甘かった。茹でおよび蒸した坊ちゃんは、甘くなかった。糊化デンプンの有無と性状が甘みと関連したと考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691712000
  • NII論文ID
    130005044197
  • DOI
    10.11402/ajscs.25.0.180.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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